エメラのタルト

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ベルギーでの修行時代、タルトはお店の人気商品でした。その焼き仕事(オーブン)はパトロンが一任していて、僕の最初2週間程の仕事は、凄い数量の翌朝の焼成前のタルトにフルーツを詰めたりクリームを仕込んだリする事が主でした。
その際、素材(フルーツやナッツ)を「必ず味見をしなさい」と言うのがパトロンの口癖で、焼成温度や焼成時間などおおよその目安はあったけれど、その日の素材の具合に合わせて日々焼き方は変えていました。
水分の多いフルーツや少ないフルーツ、それぞれの美味しいをイメージして焼き上げていました。
パトロンとのその時間は、当時華やかで複雑なお菓子にしか意識が向いていなかった僕にとって、大切な「気づき」を与えてくれました。